98年10月

恒例の象フェスティバル

テレビで紹介されることの多いスリン県の象祭りが今年も11月に開催されます。

象をめぐる自然環境、社会環境は悪くなるばかりです。そこで象をめぐる最近の話題

を少し、…

「象さんの病院」

象をめぐる環境は悪くなるばかりで、病気や事故にあう象の数が急増していると

いいます。そこで2年前から、チェンマイ近くのランパン県に象の病院ができまし

た。運営は「プーアン・チャーン(象の友達)」というタイのNGOがやっています。

患者は交通事故や精神的なストレス、麻薬中毒(?)などなど。麻薬中毒というの

は、重労働に耐えられるように象にアンフェタミンという亢進性の麻薬を大量に投

与するため、象が副作用をおこすものです。実際に副作用で足の曲がらなくなった

象が入院中です。国立の象保護センターに間借りしているこの病院の規模はまだま

だ小さいですが、いずれは全国規模に広げていきたいとのことです。象保護センタ

ーにいた日本人女性トレーナーは結婚して帰国されたとのことですが、スウェーデ

ンとカナダから若い女性が象のトレーナーとしてあらたに参加、研修を受けていま

す。

「失業した象たち」

象使いとして有名なのは、カレン族とスワイ族。かつては象の力が必要な木材

伐採の現場や農耕作業に引く手あまたの需要があったのですが、木材伐採が禁止さ

れるとともに、作業現場でフォークリフトなどの機械が使用されるようになって、

象の仕事先が無くなりました。そして、ふるさとの森はすでに破壊され、一頭で一

日に200キロの食べ物を必要とする象に供給する緑は残されていません。植林計画

で植えられる樹はユーカリで下草が生えず象の食べ物は無く、なおかつ苗木をいた

めるという理由で象の立ち入りが禁止されていて、象の住めるところはわずかにな

ってしまいました。残された生存の道は「観光」。観光用アトラクションやジャン

グルツアーの乗り物として、観光客からわずかな入場料やチップを得ることで生活

しています。特にスリン地区のスワイ族の状況は悲惨で、バンコクやプーケットに

まで象とともに出稼ぎに来ているのは、彼らです。交通渋滞、事故、糞害、などを

理由にバンコク都庁は象の立ち入りを禁止しましたが、近郊の草のあるところにキ

ャンプを張って、象とともに繁華街をのし歩き観光客に象用のバナナや工芸品を売

りつけて、その場しのぎの生活を送っています。「象さんの友達」などのNGOなど

も支援活動をはじめているのですが、追いつかないのが現状です(タイには2,000

頭の野生象と3,000頭の飼育象がいるといわれている)。

バンコク近郊のキャンプを覗いてみました。スワイ族の人たちは、不況のあおり

で廃虚となってしまった建設途中のタウンハウスを根城にしていました。印象的だ

ったのは、壁一面の落書きです。つたない絵で描かれていたのは、パトカーやヘリ

コプターに追われ、逃げる象や象使いたちの姿でした…。

スリンで象祭りの行われる11月には、彼らはふるさとに帰ります。

# 近年、スワイ族でなくクーイ族と呼ばれるようになりました。スワイ族と言うのはタイ族がつけた蔑称であり、象使いが話す「私たち」という意味の「クーイ」が民族の名前になっています。クーイ族はクーイ語を話します。